大粒ゲーム紹介35:Bad Dream: Fever

ポーランドのゲーム開発スタジオ、Desert Foxによるゲーム「Bad Dream: Fever」の紹介。

一言で:Bad Dream: Feverとは
青いインクが侵食する世界が舞台のポイント&クリックホラーゲーム

Bad Dreamシリーズ

Bad Dream: Coma→Bad Dream: Fever(今ココ)


概要

  • ジャンル:ポイント&クリックホラー
  • 開発者:Desert Fox
  • リリース日:2018年11月16日
  • 価格:通常時1,010円、セール時101円
  • プラットフォーム:Steam
  • 日本語:無、最低限英語力が必要
  • マルチプレイヤー:無
  • コントローラー:使用不可
  • プレイ時間:3~4時間
物語性 ★★★★★
ゲーム性 ★★★☆☆
難易度 ★★☆☆☆
コスパ ★★☆☆☆
怖さ ★★★☆☆

 

こんな人にお勧め

  • 不気味系ホラーゲームが好きな人
  • 一風変わったポイント&クリックゲームをプレイしたい人
  • 「悪夢」テーマのゲームが好きな人

 

ネタバレなし解説

ゲームについて、以下ストアページより翻訳。

世界は奇妙なインクで覆われ、正体不明の伝染病は残酷な刈り取りを始める。街は完全に空っぽで死んでいるようだ。しかし恐怖、悲哀、孤独、苦痛が街の隅々まで現れている。

このゲームは、ポイント&クリックホラーゲームである。タイトルにもあるように、「悪夢」(厳密には「悪い夢」と訳すのが良いが)をテーマにしており、独特な雰囲気の中で進んでいく。なお、性質上グロテスクな描写もあるため、苦手な人は注意。
本作は、同開発者による「Bad Dream: Coma」と同様に「Bad Dream」を冠しており、さまざまな点においてそれを意識させられるようなものとなっている。そのため、「Coma」をプレイしてから遊ぶとより楽しめるだろう。以降「Coma」のことは「前作」と呼ぶ。

日本語はない。そこまで複雑な英語ではないが、苦手な人は注意したい。

fever_intro
公園。ベンチには青いインクに覆われた人物が。

ストーリーについて。「テレビをつけると…」という感じで始まる。なんとなく前作と似たような感じ。

操作について。ポイント&クリックゲームらしく、マウスだけである。

ゲーム性について。基本的にポイント&クリックゲームらしく、アイテムを探したり、パズルを解いたりしながら、先へ進むというものである。その中で、このゲームの特徴として挙げられるのは、「悪夢」をテーマにしているという部分である。

そして今作は、前作から一転、「青いインク」の要素が出てくる。前作でも強調のため、「赤」で「血」が表現されていたが、今作の場合、「青」いインクは「謎の伝染病」である。そのため、場合によっては青いインクで覆われてしまっていて進めなくなってしまう場所もある。

fever_notready
大量の青いインクと「まだ準備できてない!」「後で戻ってきて!」の文字

総じて、前作同様非常に雰囲気作りがうまいゲーム。この雰囲気や謎解きなどは、「Rusty Lake」によるゲームなどと似たものを感じさせる。
ただし、前作とは違い、主人公の行動によってステータスが変化するようなことはない。そのため、前作に比べてボリューム不足を感じさせられる。
もし、どうしても気になるような部分があったら、ストアページ説明文を読んでほしい。なお拙訳ではあるが、以下に翻訳を載せておく。


ストアページ説明文(原文&翻訳)

The world is covered in strange ink, an unknown plague has gathered its cruel harvest. The city seems to be completely empty and dead, but in its every corner there are manifestations of fear, sorrow, frustration, misunderstanding, loneliness, and suffering. The situation looks hopelessly, but not everything is lost yet…

世界は奇妙なインクで覆われ、正体不明の伝染病は残酷な刈り取りを始める。街は完全に空っぽで死んでいるようだ。しかし恐怖、悲哀、孤独、苦痛が街の隅々まで現れている。希望がないように思える状況だが、まだすべてが失われたわけではない…

Enter the feverish dream and experience its abstract world. Recognize the degradation of your environment and adapt to it. Act with caution. There is a malicious virus waiting for you at each step. Avoid the ink and everything should be alright.

熱っぽい夢に入り、難解な世界を体験せよ。環境の悪化を受け入れ、適応せよ。注意を払い続けろ。有害なウイルスは常にあなたを待っている。インクを避ければ、すべては順調に行くだろう。

Keep an open mind and be prepared for anything. Expect an enemy in the person who you would least expect it. If you feel betrayed, remember that a fever can change a strong, healthy person into a complete wreck. An infected mind loses common sense.

広い心を持って、あらゆることに対する心構えをせよ。予想がつかないような人物に存在する敵を予期せよ。もし裏切られたと感じたなら、これだけは覚えておいてほしい;発熱は、強靭で健康な人間を完全に破壊する。蝕まれた精神は常識を失わせる。

Attempt to save at least one person. Remember, sometimes 100% effort is still not enough. Don’t let the fever infect your mind. Don’t let the ink to change you…

少なくとも一人の人間を助けようとせよ。覚えておいてほしい;時には100%の努力さえも足りないことを。発熱にあなたの精神を蝕ませてはいけない。あなたがインクによって変わるようなことがあってはならない…

Game features:

– The climate of a world resembling sleep during a fever.

– Creative riddles requiring an unconventional approach.

– Refined locations, full of intense, suggestive climate.

– A sincere and complex story told from the depth of the author’s heart.

ゲームの特徴:

発熱中の睡眠に似ている世界。

型破りな手法が必要な独創的な謎。

洗練されたロケーション。情熱に満ちている。示唆的な世界。

開発者の心の深淵より語られる偽りのない複雑なストーリー。

ネタバレあり感想

※ここから先ネタバレあり、それでもいい方はスクロール

それではネタバレありで感想を書きます。
正直、前作からすると残念感が強い今作。分岐を無くしたのみならず、前作ではいい感じで挿入されていたメタフィクション要素が、今作ではあまりにも出しゃばりすぎており、不気味感が圧倒的に減っている。
だが、それもストアページ説明文を読むと変わってくる

ゲーム中でも、一部が開発者から語られるが、つまり「Bad Dream: Feverは、トレーラー公開で大いに沸いた。しかし期待に応えようと(あるいは、批判されている点を直そうと)努力するあまり、ゲームが完成しなくなってしまう。挙句、発熱をしてしまい、もはや開発どころではなくなる。そのようなプレッシャーが重なり、心まで蝕まれてしまった。」というあたりだろう。
ここらへんについて、詳しくは調べていないのでわからないが、それを考えるとすべて納得がいく。ただ、そのような状況を知らずに、また説明文を読まずにプレイすると、非常に残念な作品となる。もう少しここが強調されるとよかったのかもしれない。

fever_building
ストアページの画像も、よく見れば開発中のものである。この画像は特にわかりやすい。

ストーリーについて。大筋は「「青いインクを除去する方法を考えた挙句、登場人物が「この世界はゲームの世界だ」ということに気づく。そこで開発者(=Desert Fox)のもとを訪ねると、「このゲーム(=Bad Dream: Fever)は未完成品で、納得いかない要素やバグなどに全部パッチをあてているが、どうしても前作を超えられない」ということにより、完成しないゲームになってしまっている。そこですべてのパッチをリセットし、トレーラー時点でのゲームに戻そうと主人公たちは動くが、そこに開発者の作った「自動的にバグを消去するロボット」が立ちはだかる。ロボットは暴走しており、この世界のあらゆるものを削除しようとしているため、主人公は「前作の病院」に逃げ、病院のコンピュータによってロボットを削除。ゲームはトレーラーの時点に戻る。」というトレーラーを見ているプレイヤーがテレビを消す」という感じ。
この「ロボット」は、間違いなく当初は登場しないキャラクターであったのだろう。実際、デザインは非常に異質なものである。これは、いわゆるデウス・エクス・マキナ的存在として、発熱が収まった後に作られたものだろう。

操作性、ゲーム性などは上述した感じ。今作では分岐がないため、ゲーム性がかなり弱くなっている。もちろんリプレイ性も弱い。

総じて、ゲームとしてみると完全に残念ではあるが、上記の背景を知ると何とも言えなくなる。