小粒ゲーム紹介63:Out There Somewhere

カナダのゲーム開発スタジオ、MiniBossによるゲーム「Out There Somewhere」の紹介。

一言で:Out There Somewhereとは
テレポートできる銃を駆使するショート2Dパズルメトロイドヴァニア


概要

  • ジャンル:2Dメトロイドヴァニアパズルプラットフォーマー
  • 開発者:MiniBoss
  • リリース日:2016年3月15日
  • 価格:通常時100円、セール時50円
  • プラットフォーム:Steam
  • 日本語:無
  • マルチプレイヤー:無
  • コントローラー:使用可
  • プレイ時間:1~2時間
物語性 ★★☆☆☆
ゲーム性 ★★★★★
難易度 ★★★☆☆
コスパ ★★★☆☆
探索要素 ★★★★☆

 

こんな人にお勧め

  • ワンコインでメトロイドヴァニアが遊びたい人
  • テレポートするタイプのゲームが好きな人
  • 洞窟物語、スーパーメトロイド、Portalなどが好きな人

 

ネタバレなし解説

ゲームについて、以下ストアページより翻訳。

洞窟物語、スーパーメトロイド、Portalにインスパイアされたゲーム。あなたは危険なエイリアンの惑星に座礁した探索者である。燃料は少なく、脱出するための唯一の希望は惑星のコアを見つけること。非常に優れたアクションパズルプラットフォーマー。

このゲームは、ストアページ説明文にもあるように、洞窟物語、スーパーメトロイド、Portalにインスパイアされたゲームである。どれも有名な作品であるため、1つはプレイしたことがある人も多いことだろう。それらの要素を1つのゲームに落とし込み、たったのワンコインで遊べるという、なかなか面白い作品。

日本語は無い。最低限の英語力があればクリアは可能だが、ストーリーを理解するにはそれなりに英語力が必要。

ストーリーについて。具体的に語られないが、「主人公は悪の親玉Grigoriを追う最中、撃墜されて謎の惑星に不時着してしまう。脱出するために、惑星のコアを探す。」といったあたり。なお、ストーリーの都合上、ゲームが始まってすぐに横スクロールシューティングが始まるが、ミニゲームみたいなものである。決して遊ぶゲームを間違えたわけではない。

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美麗なドット。それもそのはず、開発スタジオにはCelesteに携わった人もいるのだ。

操作について。基本的に左右への移動とジャンプ、テレポートガンを撃つ程度で単純。それでいて、まさにPortalのような深さがある。また、メトロイドヴァニアらしく、追加される操作もある。

ゲーム性について。基本的にはとにかく先へと進む2Dパズルプラットフォーマーであり、そこにメトロイドヴァニア的探索要素がある。インスパイアされた作品を用いて説明するなら、「洞窟物語的ドット絵&探索要素に、スーパーメトロイド的ストーリー&雰囲気、それにPortal的テレポートガンがあるゲーム」といったあたりか。
こういったゲームは非常に多い。では何が特徴かというと、テレポート要素と探索要素の独自性にあると言える。テレポート要素は、まさにPortalのように運動量を保存する要素がある。ただし、テレポート自体は「弾の着弾点へテレポートする」形式のため、プレイフィールはかなり異なる。そして探索要素は、ただクリアするだけならほとんど無いといっても良い。しかし、探索を始めると、その実かなりの要素が隠されている。

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ギミックももちろんある。それらによって探索が奥深くなっている。

総じて、非常にコンパクトにまとまっていると言えるゲーム。プレイ時間は、クリアだけなら正直1時間もかからないだろうし、100%クリアもそこまで時間がかかるものではない。しかし、ワンコインで、あるいはセール時ならたったの50円で、これだけのクオリティというのはなかなか。


ネタバレあり感想

※ここから先ネタバレあり、それでもいい方はスクロール

それではネタバレありで感想を書きます。
なかなかに味わい深い本作。コンパクトさは非常によく、実際ワンコインであれば十分なクオリティであろう。しかし、個人的にはもう少し値段が上がってもいいから、内容が欲しかった感じは否めない。

ストーリーについて。最終的には無事脱出して、Grigoriを倒せた、といったあたり。惑星の住人など疑問点も感じることはあるが、それなりにシンプルにまとまっている。

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謎のエイリアン。具体的に明かされることはない。

操作について。上記で触れなかった操作として、ガウスガンがある。これはシンプルに銃である。それ以外に追加される操作はないため、操作自体はかなりシンプル。

ゲーム性について。2Dパズルプラットフォーマーとしては、それなりといったあたり。あまりメトロイドヴァニア要素を期待しすぎると、正直肩透かしを食らう。何せ必要な物を求めていったり来たりというのは100%クリアを目指さない限りほとんどない。そのため、ただクリアするだけならこのゲームの面白さを味わいづらい。しかし100%クリアを目指すと話は変わってくる。普通にプレイしていて発見できるようなアイテムは行き方を考える必要があり、発見できないようなアイテムは「どうやって別の画面に行くか、またそこになにかあるのか」を考える必要がある。この、特に別の画面へと行く方法を考えるのが楽しい。

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ガウスガンを回収できる場所。右下のアイテムは場所さえ覚えておけば回収は簡単。

そして何より、最も楽しめるのはスタート地点左側のアイテムだろう。このアイテムは惑星を脱出する際必ず目にするものであり、ガウスガンが必要となる。しかし普通にいけば絶対にたどり着けない。回収するためにはガウスガンを入手して戻ってくる必要があるのだが、普通に進むと戻れなくなってしまう。そのため、チェックポイントを(一部除いて)触れないようにしつつ、ショートカットルートなども駆使しないとダメとなっている。ここが特に面白い。
同時に、ゲーム終盤で使用するテクニックである、「間隔が広い左右の壁を使って徐々に登る」テクニックを活用して回収できるガウスガン強化版もなかなか楽しい。これは上記のアイテムを回収できたなら回収できるものであり、苦労した甲斐のある性能の高さを誇る。

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青・赤・緑のビームはなかなかに混乱させられる。

しかし、少し残念な点もある。1つは、何もない画面があること。どこまで開発者が想定しているかはわからないが、こういった画面に到達するのはかなり困難となっている。苦労した末、何も無いというのは少しばかりむなしい。そして1つは、シューティング要素が何のためにあるのかということ。最後にあるシューティングはまだわかる(某ピンク玉のゲームでも結構あるし)。しかし最初のシューティングはよくわからない。プラットフォーマーをプレイしようとしたら突然謎のシューティングが始まり、もちろん頑張って生き残ろうとするだろうが、絶対にボスを倒せないようになっている。そのため、2周目以降は「いかに早く撃墜されるか」を目指すこととなるだろう。おそらくこの要素はスーパーメトロイド冒頭のリドリー戦を意識したものかもしれないが、あちらと違って攻撃を与え続けても終了しないというのはどうなのか。

総じて、100%クリアを目指すと非常に面白くなるゲーム。それだけに、もう少し遊びたいという気持ちもある。今後に期待。