小粒ゲーム紹介61:Manual Samuel

ノルウェーのゲーム開発スタジオ、Perfectly Paranormalによるゲーム「Manual Samuel」の紹介。

一言で:Manual Samuelとは
人間を(マニュアルで)操作するコメディゲーム


概要

  • ジャンル:コメディゲーム
  • 開発者:Perfectly Paranormal
  • リリース日:2016年10月15日
  • 価格:通常時980円、セール時196円
  • プラットフォーム:Steam
  • 日本語:無、有志による日本語化有り
  • マルチプレイヤー:有
  • コントローラー:使用可
  • プレイ時間:2~3時間
物語性 ★★★★☆
ゲーム性 ★★★★☆
難易度 ★★★★★
コスパ ★☆☆☆☆
コメディ ★★★★★

 

こんな人にお勧め

  • 人間を操作することに自信がある人
  • ブラックユーモアで笑える人

 

ネタバレなし解説

ゲームについて、以下ストアページより翻訳。

サミュエルを知ってる?ハンサムで、金持ちで、そしてなによりも…死んでいる。死神との取引で、サミュエルはもう一度生きられるチャンスを与えられた。ただし、彼は一日を通して、ありとあらゆる物事を「マニュアルで」生き延びなければならない。

このゲームは、主人公「サミュエル」を操作して、一日を生き残るゲームである。ただし冒険などはなく、よくある日常を過ごせばいい。ただしマニュアルで左右の脚、左右の手、背骨、呼吸、まばたき、それらはすべてマニュアルになっている。そのため、朝の支度でさえ命がけとなる。

なお、公式の日本語はないが、有志による日本語化がある。感謝しつつ使わせてもらおう。

ストーリーは、上記説明文に示したような感じである。なお、「死神」と訳したが、厳密にはヨハネの黙示録の四騎士の一人、「死」である。そこまで重要ではないが一応。

samuel_death
蘇ったサミュエル、それに死神。まずは体をきれいにするところから。

操作について。左右の脚、左右の手、まばたき、呼吸、背を立たせる等々、ありとあらゆる行動に操作が割り振られる。まるで「QWOP」のよう。

ゲーム性について。サミュエルとなって、とにかく一日のタスクをこなしていくだけであるのだが、そこにマニュアル操作が合わさって、なかなか難易度が高くなっている。しかし、そこにコメディ性の高さがあるが故、イライラすることは割と少ない。それにチェックポイントの多さや、呼吸さえ忘れなければどうにかなるようになっており、案外クリアは容易。
また、そのコメディについてもなかなか斬新。主人公サミュエルは、親のおかげで金持ちだがバカという金持ちのステレオタイプ。死神はなぜかラッパーみたいな恰好&ラッパーみたいな喋り方をする上、ずっとスケボーでキックフリップをしようとしている。ナレーターはメタい話をする。特徴的な出来事が起きると「#(ハッシュタグ)」付きでメッセージが現れる等々、プレイヤーを飽きさせない。

samuel_wash
体を洗うのも命がけ。全力で、大急ぎで体を洗うんだ!

ネタ性に溢れているが、ストーリーは投げやりなものではなく、割としっかりしており、面白おかしく進められる。
しかし少し残念な点もある。一番はコスパの悪さだろう。フルプライスだと短く感じる。収集要素もあるが、それらすべてを集めてもなお短い。

総じて、全体的に高クオリティだが、フルプライスではちょっと、という感じのゲーム。しかし、このネタ性とストーリーはかなり良いし、お勧めはしたい。


ネタバレあり感想

※ここから先ネタバレあり、それでもいい方はスクロール

それではネタバレありで感想を書きます。
近年のブラックユーモア系のゲームではトップクラスにクオリティが高いゲームであると感じる。操作も最初は混乱するが、慣れると思い通りに動かせ、他のこういった「人体シミュレータ」系のゲームに比べてプレイしやすい。

ストーリーは、かなり怒涛の展開で、全部書くと膨大な量となるため省略するが、とにかくキャラクターに魅力があってよい。サミュエル以外のキャラクターにもストーリー性があり、最初の喫茶店の店員に(おまけ要素として)金を大量に渡せるのだが、渡すとロボットのステージで店を開いているなど、割と綿密に伏線が張られており、メインプロット以外も楽しめる。

samuel_war
登場人物の一人、「War」。案外乙女な面も持ち合わせる。

操作性について。上述したように、慣れれば案外いける。後半のロボットや地獄での戦闘などは若干難しくなるが、割と体力に余裕があるため、落ち着いて対処すれば死なずに初見クリアも狙える。個人的に車のステージの操作が気に入っており、実際のマニュアル車さながらに混乱させられ、教習所でのことを思い出した。

ゲーム性について。シーンごとにゲーム性が変わるのだが、それによってプレイヤーを飽きさせないようにしている。それらがちゃんと「マニュアル」というテーマのもと、ある程度の一貫性を持っており、テーマともしっかりかみ合っている。

総じて、全体的に良いゲーム。それだけにフルプライスの値段が気になってしまうが、コメディが好きなら十分だろう。