
ドイツのゲーム開発スタジオ、btfによるゲーム「Trüberbrook」の紹介。
一言で:Trüberbrookとは
手描きの背景やクレイアニメーション風のキャラクターが魅力のSF3Dポイント&クリックゲーム
概要
- ジャンル:3Dポイント&クリックアドベンチャー
- 開発者:btf
- リリース日:2019年3月12日
- 価格:通常時3,090円、セール時1,390円、コンソール版3,500円
- プラットフォーム:Steam、Switch、PS4、Xbox One
- 日本語:有
- マルチプレイヤー:無
- コントローラー:使用不可
- プレイ時間:3~4時間
物語性 | ★★★★☆ |
ゲーム性 | ★★☆☆☆ |
難易度 | ★★☆☆☆ |
コスパ | ★☆☆☆☆ |
奇妙さ | ★★★★☆ |
こんな人にお勧め
- クレイアニメーションが好きな人
- 昔を舞台にしたSFが好きな人
- 奇抜な発想ができる人
ネタバレなし解説
ゲームについて、以下ストアページより引用。
1960年代ドイツが舞台のサイエンス・フィクション »トルバーポーク«はミステリーとサイエンス・フィクションの要素がふんだんに散りばめられたスリリングなアドベンチャーゲーム。1960年代のパラレルワールドで冒険尽くしの休暇を楽しもう!手描きの背景が美しいSFミステリー冒険ゲームです。
このゲームは、1960年代ドイツを舞台に展開されるSF3Dポイント&クリックアドベンチャーゲームである。特徴的なのが、ち密に書き込まれた手描きの背景と、クレイアニメーション風のキャラクター達である。特に背景は写真かと見まごう程美しい。
ストーリーは、ストアページより引用。
1967年、世界は冷戦とベトナム戦争の真っ只中。ロシアとアメリカは月への着陸を競い合う中、時を同じくしてヨーロッパでは、パリからベルリンまで、学生達がデモを繰り広げていました。世界中が混乱を来たし、ドイツの人目につかない場所で秘密裏に行われていた出来事に気づいた人はほとんどいません。そんな中、20代後半のアメリカ人学生、ハンス・タンフーザーにあるサプライズが。ドイツにある小さな村 トルバーポークへの旅行が当たったのです。トルバー…?聞いたこともなければ、宝くじを買った覚えもない…量子物理学博士になるための勉強から離れられる事が嬉しくて、ハンスは好奇心が溢れるままにドイツのトルバーポークへ向かいます。
しかし到着して間もなく、予期せぬ事件が起こります。ゲストハウス・ウォルドースラストの彼の部屋に謎の男が突然押し入り、物理学に関するレポートを盗んだのです。誰がそんな事を?そしてその理由は?
次第に、ハンスは様々な村人やスパのお客さんと顔見知りに。皆 それぞれ何かが変。トルバーポークに調査に来ていた若き人類学者 グレタ・レムクだけが普通に見えました。気づかぬうちに、グレタはハンスにとって生涯の冒険仲間になっていたのです!野心溢れる物理学者のハンスは、次第に自分がこの村に来た事は偶然ではないと気づき始めます。彼が来たのは…世界を救うためだった!

操作性について。基本的にポイント&クリックで進める。一応矢印キーも使用可能。なお、説明文にはコントローラを使えるような記述があるが、使用不可なので注意。
ゲーム性について。よくあるポイント&クリックゲーム同様、謎を解いたり物事を解決したりする→新たな出来事が起きる…の繰り返しである。その出来事などが突飛であり醍醐味でもあるのだが、その影響か謎解き部分に突飛な要素も含まれており、それなりに難解になっていたりする。一応、現時点でできることをしらみつぶしにやっていけばクリアはできるようになっている。
総じて、発想等は良いものの、このゲームなりの特徴が弱く、平凡と感じるゲーム。本編自体の長さもそこまでではなく、「もう少し作りこまれていれば」と思える。
ネタバレあり感想
※ここから先ネタバレあり、それでもいい方はスクロール
それではネタバレありで感想を書きます。
最後までプレイすると、後半の急展開に違和感を感じる。急に「別世界からやってきた」と言う人物を信用する主人公、いきなり出てくる様々な機械、よくわからないが量子力学的要素を満たすことができる日常品の数々…等、まるで昔からよくある、短めのSFの話のようである。そのため消化不良感が非常に大きい。
ストーリーについて、具体的に述べようにもわからない点が多いが、「仲間だと思っていたグレタが裏切り、世界が崩壊しそうになる中、ハンスは(量子力学的な何かの)機械を作り上げ、グレタを止める。」といったあたりで、その後エンディングは(一応)2つに分かれる。ただ、この終盤の展開は前述したように違和感を感じるものである。

操作性について。割と悪いように感じる。モーションを作りこんでいるのは良いのだが、割とこのゲームには行ったり来たりが多いため、徐々にイライラしてくる。せめて場所の切り替えは素早くできればと感じる。
ゲーム性について。謎解きの発想が突飛すぎ、(余程奇抜な発想ができる人でない限り)プレイヤーはしらみつぶしをする必要があるという点がある。この部分と、前述した操作性で、謎解きをするというよりできることを延々と探すだけになってしまっている。
謎解きに突飛な発想が必要という部分は問題ない。実際、そういったゲームは多いが、それらは「コメディ性が強く笑える」か、「奇妙を通り越して恐怖を感じる」ようになっており、プレイヤーを退屈させないようになっている。しかしこのゲームはそのどちらでもなく、「一部謎解きが突飛すぎるうえ、無理に量子力学的要素を入れたがためにプレイヤーが理解できず、ただ漫然と進めるだけになる」という、あまりよくないものとなっている。

とにかく、残念な点が多すぎる本作。とってつけたような量子力学的要素、使い古されたSF要素、謎の大半が未解決、伏線がほとんどなく薄味という、せっかくの設定を活かせていないもったいなさがある。特にキャラクターは一人ひとり印象に残るような、摩訶不思議な言動をするキャラクターばかりなだけに、その部分を活かせてないのはもったいない。
総じて、絵柄などは良いのだが、ポイント&クリックゲームとしては全体的に薄味な本作。特にこういったゲームは、「ストーリーをしっかりと仕込む」か、「コメディ性重視でストーリー性はほとんどない」か、「完全な別世界で、不思議な光景を楽しむ」か、そのどれかでもあればよいのだが、本作にはどれもない。しかしポテンシャルは感じるので、次回作に期待といったところ。