
カナダの開発スタジオ、Going Loud Studiosによるゲーム「DLC Quest」の紹介。
一言で:DLC Questとは
DLCを購入しないとまともにプレイできないゲームを風刺した2Dプラットフォーマー
概要
- ジャンル:2Dプラットフォーマー
- 開発:Going Loud Studios
- リリース日:2013年3月19日
- 価格:通常時298円、セール時98円
- プラットフォーム:Steam
- 日本語:無、ネタを理解するには英語力が必要
- マルチプレイヤー:無
- コントローラー:使用不可
- プレイ時間:3~4時間
物語性 | ★★☆☆☆ |
ゲーム性 | ★★☆☆☆ |
難易度 | ★★☆☆☆ |
コスパ | ★★★★★ |
コメディ | ★★★★★ |
こんな人にお勧め
- ちょっと違った2Dプラットフォーマーをプレイしたい人
- DLCに辟易してる人
- 自分の英語力に自信がある人
- ジョークを楽しめる人
ネタバレなし解説
ゲームについて、以下ストアページより翻訳。
DLC販売が行きすぎたらどうなる?インディーデベロッパーが業界とDLCの欠点を馬鹿にしたゲームを作った結果がこれだ!悪いやつをやっつけて、世界を救い、女の子を手に入れろ!だがまずお前はアニメーション、音楽、そしてポーズ画面を使えるようにするために、コインを集めてDLCを買うんだ!
ありがたいことにこれはただの風刺で、すべてのDLCはゲーム中のコインで買える。だが考えてみればそれは将来のゲームへの教訓だからな…
もうお分かりであろう、現在ではすっかり根付いているDLC商法に対する強烈な風刺ゲームだ。特にこのゲームがリリースされた2013年頃は、未完成のゲームを売る→続きはDLCでとかいう商法がまかり通っていた。現在はそういった商法は減っており、完成したゲーム+追加DLCといった商法が増えている(しかし、その代わりに衣装やスキンのDLCがかなり増えた)。
ゲーム性は普通の2Dプラットフォーマー…と言いたいところだが、始めてみると異変に気付く。なぜか右にしか動けない。しかもアニメーションがない。音楽もイントロが終わったら鳴らなくなる。ポーズできない。もちろんPCが壊れているわけではない。そう、それらが欲しければDLCを買うんだ!という具合である。
ちなみにストーリーはいたって単純。あなたの目の前で姫が悪いやつにさらわれた。以上。あなたは何者?ここはどこ?あなたと姫の関係は?悪いやつは何者?どうして救いに行かなければならない?後ろにいる馬は何?そういった疑問があるかもしれないが安心してほしい、一つも説明されない。英語の5W1Hすべてが見事に抜けてしまっている。これもある種、昨今のストーリーがほとんどないゲームへの風刺であるといえるだろう。

少し進めてゲーム内コインを使ってDLCを買っていけば、左にも動けるようになるし、アニメーションもつくし、音楽も鳴る。そして探索を進めると「DLCパック」というアイテムが手に入る。新しい能力かと思いきや、なんと拾ったうえでコインを払って有効にしなければならない。

しかもDLCについての説明が無いといってもいい。上記の馬への鎧は、「あなたの馬へ輝く鎧を!このアイテムは返品不可です。」としかない。そんなもの画像とパック名見たらわかる。こういう意味のわからない、あるいは意味のないDLCの説明も風刺であろう。
こういった具合に出オチの塊なゲームである。
英語ばかりで困惑すると思うが、読めなくても、詰んだらストアへ行ってDLCパックを買うようにすれば進める。もちろん英語が読めれば、随所にちりばめられたパロディネタも把握できるし、風刺もしっかり把握できる。ただしゲーム中の会話は、ビジネスな会話から砕けた会話まであるので、全部内容が理解できるなら相当英語のレベルが高い。
ストーリーはあってないようなもので、ゲーム自体も(DLC除けば)普通の2Dプラットフォーマー。そこまでゲーム性を期待せずに購入しよう。幸い、このゲームにはDLCがないので、本体を買うだけで全部遊べる。
ネタバレあり感想
※ここから先ネタバレあり、それでもいい方はスクロール
それではネタバレありで感想を書きます。
ストーリーについては、へんてこな展開ではあるが特筆すべき点はない。肝心なのは、意味のない要素が追加されるDLCや、真EDに到達するDLCを購入しなければ、すべての実績を解放できないということである。今でこそ数は減ったが、それでも、完成したかのようにふるまう→真ED見るにはDLCを購入してね、という商法はある。ただ、そのことを面白おかしく表現できていることは、このゲームのうまい点である。
本編はかなり短く終わるが、気に入った人は追加DLCストーリー(という体の)”Live Freemium or Die”、訳すなら「無課金で生きるか、死ぬか」、を遊んだことだろう。
こっちはストーリーがかなり意味不明だし、EDもとんでもない展開。しかもボリュームに関して言えば本編より長いという、DLCとしてそれはどうなの?感満載なものである。

ゲームを進めるとさらに風刺が進んでいき、重要そうな人物(ほとんどが意味のないNPC)、正体不明のアイテム、広告の削除、おつかいクエスト等いわゆるF2P(Free to Play、基本無料)ゲームへの風刺が増える。F2Pのゲームも、今でこそ少なくなってきたが、このゲームの開発当時にはP2W(Pay to Win、課金したら勝てる)ゲームが多かった。最近なんかは大手ゲーム会社はその点のあるなしで評価されることも多いため、もっぱらF2PゲームにはスキンのDLCだったり、そこまでP2Wにならないようにされている。

このゲームの説明文にもある、「将来のゲームへの教訓」という意味では、このゲームは大いに貢献できた、と思う。そもそもDLCというのは、本来、完成された本編をクリアして面白いと思った人が、さらに追加されたストーリー・キャラクター・スキンで遊びたい!と思って購入するものだろう。それを、本編の一部にしてしまうのは、ほとんどのユーザーに対して購入を強要しているようなものである。これではゲーム開発者が、ただ金を稼ぎたいだけという気持ちが丸見えである。それに対する風刺は、大手のゲーム開発会社ではできないことであり、インディーゲームだからこそできたことである。
少々説教臭くなってしまったが、まあそんな細かいことを考えず、笑い飛ばしてしまえばいい。風刺というものは笑うためにあるものだから。