小粒ゲーム紹介48:A Glider’s Journey

スイスのゲーム開発者、Emma Franklin氏によるゲーム「A Glider’s Journey」の紹介。

一言で:A Glider’s Journeyとは
グライダーとなって雰囲気を楽しむゲーム…と見せかけて超高難易度なフライトシミュレーター


概要

  • ジャンル:フライトシミュレーター
  • 開発者:Emma Franklin、Charlie Marshall
  • リリース日:2019年9月27日
  • 価格:通常時520円
  • プラットフォーム:Steam
  • 日本語:無、しかし英語がわからなくても問題なし
  • マルチプレイヤー:無
  • コントローラー:使用可
  • プレイ時間:3~4時間
物語性 ★☆☆☆☆
ゲーム性 ★★★☆☆
難易度 ★★★★★★★
コスパ ★★★☆☆
美しさ ★★★★☆

 

こんな人にお勧め

  • 飛行機を操作して狭いところを潜り抜けるくらい余裕でできる人

 

ネタバレなし解説

ゲームについて、以下ストアページより翻訳。

A Glider’s journey(グライダーの旅)は短く、ミニマルで、しかしながらかなり挑戦的なフライトゲーム。ゴールはシンプル:次の着地点へ向かって滑空する。道中、ブーストを手に入れることで前方への推進力を取り戻せる。

このゲームは、グライダーになって飛ぶという、割とありふれたテーマのゲームである。風景やBGMもそこそこ良く、リラックスしながらできるゲームと思ったら大間違い。このゲームは、かなりの精度の操作を求められる、超高難易度フライトシミュレーターである。その難しさはもはや理不尽とまで言えるほど。

日本語はないが、ゲーム設定くらいしか文章がないため、英語が読めなくても大丈夫。

ストーリーはない。一応、プレイしていると少しだけストーリーを感じられる部分もあるが、そこまで大したものではない。

glider_snow
雪が降り、川が凍っているという、良さげなシチュ。しかし、楽しむ暇はない。

操作について、上下への操作(ピッチアップとピッチダウン)、左右への旋回(左ロールと右ロール)だけ。フライトシミュレーターをやり慣れた人なら、すぐに操作には慣れるだろう。

ゲーム性について。基本的な部分として、自分が操作するのはグライダーである。そのため、滑空していくのが基本となる。もちろんエンジンなどはついていないので、失速したり、物に衝突した場合には復帰は不可能、やり直しである。
しかし、ただ滑空するだけのゲームではない。このゲームの目標は、着地点(=ゴール)である六角形を目指すことである。そして道中、道案内も兼ねた、ブーストがかかるリングが並んでいる。このリングをくぐると、一時的に加速ができる。なお、リングにはいくつか種類があり、それによって加速度合等が変わる。

glider_loop
宙返りは当然ある。もちろん、この輪っかのふちに当たってはいけない。

ゴール地点にたどり着くにはいくつかリングを無視してもたどり着ける。しかし、このゲームは、基本的にすべてのリングをくぐらないとゴールできないようになっている。ゴール可能かどうかは、グライダー後部の色を見れば判断可能である(赤ならゴール不可、緑ならゴール可)。

ここまでなら割と普通のゲームである。しかし、このゲームは理不尽ともいえる難易度となっている。そうなってしまっている理由には、以下のものが挙げられる。

  • リングの配置が、狭いところを通る必要があったり、宙返りをしながら通らないといけない場所にあったりする。
  • ほんの少しでも障害物に触れた時点で、基本的に復帰は不可能。
  • チェックポイントがないため、失敗した場合最初からやり直し。(なお、1ステージ所要時間は1分~3分程度)
  • グライダーらしく、挙動がかなり不安定。かなり繊細な操作を求められる。
  • 一部のステージでは上下がわからない。
  • 難易度がHard、Normal、Easy、Very Easyとあるが、実際のクリア難易度は、Hard>>>Easy>Normal>>Very Easyとなる。

これらのせいで、このゲームは異常なまでの難易度となってしまっている。

glider_roll
先に見える、バレルロールをしながらくぐらないといけない場所。しかも何回も。

前述した要素のうち、難易度について補足。難易度は、Very Easyを除き、失速のしやすさと操作性の変更が主となる。つまり、Hardではかなり敏感な操作性で、すぐに失速するのに対し、Easyでは鈍感な操作性で、失速はほとんどしないといったようになる。この、鈍感な操作性というのがポイントで、EasyではNormal以上にクリアが困難になるステージがある。これは流石にどうかと思う。
なお、Very Easyは、いわゆる自由飛行モードといったあたりで、スピードは一定、失速は基本的にしない、操作性はNormalとEasyの間くらいである。しかしながら、障害物に衝突すると復帰が困難になるのは一緒。

glider_way
分岐もある。こういった場合のみ、全部くぐらなくてもいい。(というかできない)

このゲームは、かなり雰囲気が良く、BGMも良く、リラックスできるゲームかと思わせておいて、上記の要素のせいで高難易度となっているゲームである。もちろん、その要素のバランスが良ければ問題はないのだが、あまりにも難易度が高すぎて、雰囲気やBGMを楽しむ暇もなく、ずっと緊張しっぱなしのゲームプレイとなる。しかもEasyだと一部ステージがクリア困難になるというのは、完全に調整を間違えているという他ない。一応、Very Easyなら雰囲気を楽しめるは楽しめるが、ゆっくりな移動速度に加え、やはり衝突しないようにという緊張感のせいで、そこまで初心者救済になっていない。

とにかく、何がしたかったのかよくわからないゲーム。雰囲気か難易度、どちらかに振り切れていればまだ楽しめたのだが。


ネタバレあり感想

※ここから先ネタバレあり、それでもいい方はスクロール

それではネタバレありで感想を書きます。
ストーリーについて、道中、謎のエリアを通ったりするが、特に説明はない。また、全ステージクリアすると、「クリアおめでとう。今後もアップデートしていくからツイッターをフォローしてね。(要約)」といったような文章が表示される程度。

操作について。グライダーをテーマにしたゲームとしては、まあこんな感じかといったところ。Hardが敏感過ぎるのと、Easyが鈍感すぎるのはちょっと問題だが。

glider_onlyroll
Normal以上ならロールするだけで行ける場所。Easyならピッチ調整もしないといけない。

ゲーム性について、上記で色々と書いたように、高難易度過ぎるといったあたり。最初のステージのような難易度がずっと続く程度であれば、しっかりと楽しめたのだが。
また、上記で触れなかった要素として、分岐とスローモーションがある。分岐はまあ問題ないが、スローモーションが問題。スローモーションを使う必要がある=かなり狭いところをくぐる必要があるのだが、全てがスローモーションになるせいで、修正が効かないことも多々ある。まあ、前述した要素に比べれば小さいことではあるが。

総じて、ゲームデザインが失敗しているといえる作品。本当に、雰囲気か難易度か、どちらかに偏っていれば楽しめるゲームとなっていただろうに、惜しいと感じてしまう。