
イギリスのゲーム開発スタジオ、Cavalier Game Studiosによるゲーム「The Sexy Brutale」の紹介。
一言で:The Sexy Brutaleとは
仮面舞踏会をテーマに、ループする世界で殺人を防ぐパズルアドベンチャー
概要
- ジャンル:3Dパズルアドベンチャー
- 開発者:Cavalier Game Studios、Tequila Works
- リリース日:2017年4月11日
- 価格:通常時1,980円、セール時990円、PS4版とSwitch版2,200円
- プラットフォーム:Steam、PS4、Switch
- 日本語:有
- マルチプレイヤー:無
- コントローラー:使用可
- プレイ時間:8~9時間
物語性 | ★★★★★ |
ゲーム性 | ★★★★☆ |
難易度 | ★★★★☆ |
コスパ | ★★★★☆ |
ミステリー | ★★★★★ |
こんな人にお勧め
- ループものが好きな人
- ミステリーが好きな人
ネタバレなし解説
ゲームについて、以下ストアページより引用。
本作「The Sexy Brutale」は、陰謀、殺人そしてオカルトの要素をフィーチャーした、無限に続く仮面舞踏会が舞台だ。 プレイヤーは、リアルタイムで進行するミステリアスかつ人が殺されていく謎の仮面舞踏会を何度も経験することになる。
このゲームは、上記説明文のように、ループする仮面舞踏会を舞台に、殺人が起こるミステリアスなゲームである。プレイヤーの目的は、殺人を防ぎ、この世界の謎を解いていくことである。
ストーリーについて、基本的にプレイヤーに示されるのは上記の情報だけである。まさにミステリー小説のような、0から謎を解いていくスタイルである。
操作について、上下左右への移動と様々なアクションだけであり、特別複雑な操作は求められない。また、プラットフォーミングスキルも必要とされない。操作だけで見ればかなり簡単なゲーム。

ゲーム性について、上述したように、基本はループする世界で殺人を防ぐものである。
ではどうやって防ぐのか?直接介入すればと思うかもしれないが、そうはいかないのがこのゲーム。主人公は、他の人物と同じ部屋に入ると、仮面が襲い掛かってくるし、人物への介入ができなくなる。それを避けるためには、直接人物に触れず、間接的に殺人を防ぐ必要がある。そこにパズルの要素があり、頭を使わないといけない部分となっている。
なお、仮面が襲い掛かってくると書いたが、仮面に触れるとループの開始地点へと戻されるだけであり、ゲームオーバーなどはない。またその仕様上、失敗をしたりしても、再びループの開始地点に戻れば、何度でもやり直せるので、基本的に時限要素は無いといってもいいだろう。

また、手に入れたアイテム等は、ごく一部の貴重品を除いて、次のループへの持ち込みは不可能となっている。これは面倒に思うかもしれないが、ループものでありがちな矛盾を減らしており、没入感を高めている。
少し残念な点は、謎解きに行き詰ったときに、いちいち所定の時間まで待つ必要があったり、上記の持ち込み不可があったりと、面倒くさいことになることである。これはしょうがないと言えばしょうがないが、早送り機能くらいはあったら便利だったなと感じる。
総じて、ループものとミステリーという2つの要素をうまく合体させ、そこに直接の介入が不可能という制限を設けることで、パズルゲームとしても面白くなっている今作。具体的にはネタバレとなるため伏せるが、シナリオもかなり面白い。どうかネタバレなしに最後までプレイしてもらいたい。
ネタバレあり感想
※ここから先ネタバレあり、それでもいい方はスクロール
それではネタバレありで感想を書きます。
ストーリーは、大まかに言えば、「侯爵=ルーカスが爆弾が誤って起爆し、それによって起きてしまった一連の出来事に対する後悔の念から、死してなおひたすらに自己を省みつづける。そこに、自身の親友であるラフカディオを、この省み続ける現状を解決するために、このループする世界に導入した。結果、ラフカディオにより完全に停止させる=もはや省みつづける必要がなくなった。」といったあたり。
物語終盤、侯爵=ゴールド・スカル=ラフカディオ=ルーカスということが明かされるが、おそらく他の要素から、ラフカディオという人物はルーカスとは別にいたんだろうと思う。しかし、ラフカディオのことを、自身と同一視するほどに尊敬していたルーカスが、自身に許しを与えるために導入したため、自然とラフカディオ=ルーカスという形であの世界に存在していたのだろう。もちろん、ゴールド・スカルは自身に反省を続けさせるという、自身の別の側面が生んだルーカスなのだろう。

このストーリーは、まさにミステリーの醍醐味であるどんでん返しがありつつも、それまでの伏線等もしっかりと回収しており、なかなかよくできたシナリオだと感じた。
人間というのは、自身の犯してしまった過ちを、延々と悩みがちである。最初はただ起きた事実について悩むものだが、どんどんとそこに自分なりの脚色が入っていって、自身を許せなくなってしまい、そして更に自身を苦しめてしまうものである。それを解決するには、自身以外の助けが必要となるものである。そういった一連の心理的要素を、うまく形にできているし、それを最後のどんでん返しに持ってくることで、重苦しいストーリーではなくなっている。

ではゲーム性はどうかというと、こちらも面白い。間接的に介入するしかないというもどかしさ、そして決まった時間に決まったように起きる殺人。それらがかみ合わさり、自然と焦りが生まれる。しかし、そこにループの要素を加えることで、前回できなかったことを試すという余裕も生まれ、自然と殺人を防げるようになる。
また、仮面舞踏会というテーマを導入することで、キャラクターの印象付けができている。同時に仮面に機能を搭載することで、自然とエリアの制限を生み、プレイヤーが迷わないようにできている。ここら辺のつくりはなかなかうまい。
また、BGMも良い。ただ流れているのではなく、しっかりとゲームとかみ合っている。特に、殺人が起こる瞬間になると大きくBGMが変化するのも、かなり効果的だと感じる。
総じて、全体的に完成度の高い今作。欲を言うなら早送り機能は欲しかったところではあるが、そこは仕方のないところであろう。
なお、トランプのカードをすべて集めると、シークレットエンディング的なものを見れる。このカード集めはなかなか難しく、その難易度に見合うものかというと何とも言えないが、気になったらぜひ集めてみよう。