
イギリスのゲーム開発者Alan Hazelden氏によるゲーム「Sokobond」の紹介。
一言で:Sokobondとは
倉庫番と元素のbond(結合)をテーマにしたパズルゲーム
概要
- ジャンル:倉庫番系パズルゲーム
- 開発者:Alan Hazelden、Lee Shang Lun
- リリース日:2014年7月22日
- 価格:通常時980円、セール時245円
- プラットフォーム:Steam
- 日本語:無、英語がわからなくてもプレイ可
- マルチプレイヤー:無
- コントローラー:使用可
- プレイ時間:10時間~
物語性 | ☆☆☆☆☆ |
ゲーム性 | ★★★☆☆ |
難易度 | ★★★★★ |
コスパ | ★★★★★ |
独自性 | ★★★★☆ |
こんな人にお勧め
- 倉庫番が好きな人
- 化学が好きな人
- 共有結合がどんなものか知っている人
ネタバレなし解説
ゲームについて、以下ストアページより引用。
Sokobondはエレガントにデザインされた、科学をテーマにしたパズルゲームです。
このゲームは、倉庫番(Sokoban)+結合(bond)のゲームである。具体的に、倉庫番と言えばキャラクターを操作して物を押すことで目標を達成するパズルゲームのことで、結合は共有結合のことである。共有結合とは、2H+ + O2- → H2Oのように、電子対を共有する結合のことではあるが、そういった化学の知識がなくとも遊べる。むろん、知識があればより楽しめるゲームではある。
このゲームには日本語はない。しかし、プレイするだけなら問題ない。分子等に関する解説を知りたいといった場合にのみ、それなりの英語力が必要になる。
ストーリーはない。操作は上下左右への移動+一手戻す等シンプル。

ゲーム性について。まず基本の部分は倉庫番。プレイヤーが操作するのは元素の1つである。このゲームの目標としては、画面内にある元素の電子を使い切って1つの分子を作るといったあたり。ここは実際にプレイしてもらったほうがわかりやすい。
そしてこのゲームならではの要素が、元素の部分である。例えば自分がHを操作しているとして、画面内に他のHが1つだけなら、そのHに近づくことで共有結合が起き、H2が完成してステージクリアである。しかし、ここにOが1つあると話は変わってきて、H2が完成しないように気を付け、まずはOH–を作り、そしてH2Oを完成させる必要がある。このように、結合したいもの/したくないものを意識しながら、元素を倉庫番の容量で動かしていくというのが面白い。

もちろん、最初はただ結合していくだけだが、ギミックも増えていく。そのギミックも、実際に物質を反応させて目的の物質を作る時にあるような、分子の性質等を活かしている。この点が、化学の知識があるとより楽しめる点となっている。
総じて、共有結合という、割と複雑になりがちなテーマに、倉庫番の単純さを組み合わせることで、どちらの良さも活かせているゲームとなっている。難易度曲線も良く、序盤はかなり簡単だが終盤はかなり難しい。またどうしても解けない場合は、別のステージを選ぶこともできるので、一種のリフレッシュとなる。
ネタバレあり感想
※ここから先ネタバレあり、それでもいい方はスクロール
それではネタバレありで感想を書きます。
実は管理人は物質工学を専攻していたため、そういった観点での感想にもなるが、この発想とゲーム性はなかなか面白く感じた。
特に、結合というのは基本であり重要、かつかなり複雑な部分である。それを、ここまでビジュアル的にわかりやすくしたのはすごい。かつ、倉庫番というテーマにすることで、シンプルなゲーム性となっている。化学をテーマにしたゲームでは「Spacechem」があるが、あちらは難易度が非常に高く、かつ非常に複雑なのに対し、こちらは極端な話「押す」だけですべてできてしまう。

また、追加されるギミックも良い。結合の数を増やす/減らす、結合の向きを変える、ヘリウムにより元素等を押すなどは、いずれも実際にあるものを意識しているのであろう。
ステージセレクト画面も、最初はわからないが、最後までプレイすると周期表の形をしていることがわかる。また、(英語ではあるが)分子の解説等も少々参考になる。全体的に、デザイン性が非常に高い。
総じて、デザイン性とゲーム性のバランスが良いゲーム。攻略等を見ないのであれば、値段分以上に楽しめるだろう。
なお、一通りクリアした後に追加されるステージがあるのだが、そちらは難易度がとてつもなく高い。自信のある人は挑戦してみても良いだろう。