
本日からGWが始まり、人によっては10連休以上の人もいるかもしれない。もちろん充実したGWなら良いが、新型コロナウイルス等により、あまり外出しないような人もいることだろう。
当サイトでは小粒ゲームを紹介しているのだが、そういったゲームは長時間プレイし続けるのには向かない。そこで、非常に中毒性が高く、あっという間に時間が過ぎるゲーム群「パラドゲー」を紹介したいと思う。(そのため、今回は「番外編」とした)
なお、ジャンルとしては、おおざっぱに「リアルタイムストラテジー(戦略シミュレーション)」となるため、そういったジャンルに興味がある人はぜひともチェックしてもらいたい。
「パラドゲー」って?
まずは大前提として、「パラドゲー」とは何かについて。
「パラド」とは、スウェーデンに本社を置く「Paradox Interactive」のことであり、同社が開発したゲームのうち、「グランドストラテジー(大戦略)」ゲームのことを「パラドゲー」と呼ぶ。
「グランドストラテジー」になじみのない方も多いかもしれないが、同ジャンルの有名なゲームとして「三國志」「Civilization」「Total War」などが挙げられる。要は「国家単位で何十年、何百年にもわたって戦略を繰り広げるゲーム」と思ってもらえればいい。
また、どのゲームもリアルタイムで進むため、ターン制などに比べて敷居が高く感じるかもしれないが、一時停止ができるし、進むスピードも5段階で変えられるのでそこまで気にならない。
その中でも「パラドゲー」がグランドストラテジーの中でも特別な位置にあるのは、「実際の歴史をなぞっている」というところや「国家運営の難しさ(=リアリティ性の高さ)」にある。
特に「パラドゲー」の中でもメインとなる「Crusader Kings」「Europa Universalis」「Victoria」「Hearts of Iron」の4作は、すべて合わせると867年~1948年前後を再現したものとなる。
また、国家運営の難しさは特筆すべき点で、これにより「パラドゲー」の難易度は非常に高いものとなっており、「1,000時間プレイして初心者卒業」とまで言われるほど複雑で奥深いものとなっている。そのため、「チュートリアルで学べるのは本当にごくわずかで、そのままの知識で本プレイを始めても速攻で詰む」みたいな感じになる。
「ゲームクリア」という概念がないのも特徴で、一応終わる年は決まってはいるものの、目標はプレイヤーが好きに決められる。ただしゲームオーバーの概念はあり、基本的に自分の国が征服されたら終了である。最初のうちは、大国でプレイしても滅亡してしまうことが多々あるかもしれないが、とにかく「生き残ること」を目標にし、生き残れて初めてスタート地点といったところである。
もしも「歴史ロマン」や「IFの歴史」に興味のある人であれば、最初のとっつきにくささえ乗り切れば、そこには無限の可能性を秘めた世界が広がっている。「西フランク王国になってフランク王国を再統一したい」「イングランドになって百年戦争に勝利したい」「メキシコになってアメリカ合衆国を打倒したい」「大日本帝国になって太平洋戦争に勝利したい」などなど、難易度は非常に高いがそれだけに楽しめる要素が盛りだくさんである。
また、DLCが非常に多くリリースされており、特に後述するEuropa Universalis IVに至っては主要なものでも19個も出ている。全部が全部必要というわけではなく、Europa Universalis IV以外はDLCなしでも十分楽しめる出来となっている。他サイト様では各DLCのおすすめ度などが紹介されているので、もし購入するならそれをチェックして、セールを待って買うのがいいだろう。
ちなみに公式の日本語化は(Victoria 3除き)用意されていないが、どのゲームも有志による日本語化が可能となっている。シリーズ最新作は、「Europa Universalis IV」を除き、Steamワークショップから簡単に日本語化ができるので、有志に感謝しつつ使わせてもらおう。
以上、長々と説明したが、要点を以下にまとめ、各ゲームの紹介に移る。なお、初心者向け解説などは、他サイト様で優れたものがあるため、そちらを参考にしてもらいたい。
- 「Paradox Interactive」による「グランドストラテジーゲーム」のこと
- 実際の歴史をなぞりつつ、様々な時代の歴史ロマンやIFの歴史を楽しめる
- 難易度は非常に高いが、ハマる人はハマる
メイン四作品
Crusader Kings(CK)
- 年代:867年~1066年~1453年
- 出来事:ロタリンギア分割・ヴァイキング全盛期~ノルマン・コンクエスト~十字軍~モンゴル帝国の拡大・崩壊~百年戦争終結・ルネサンス
- 中心となる要素:人間関係
CKシリーズについて
Crusader Kings(以下、CK)は、タイトルを訳すとわかるように十字軍をテーマにしたシリーズである。
日本人にとってなじみの薄い時代であるものの、ヨーロッパでは上述したような出来事など、非常に様々な出来事が起きている。
この時代は、ヨーロッパでは封建制が当たり前の時代であり、これまた日本人にはなじみの薄い「公爵」とか「伯爵」とかが出てくる。また、宗教も非常に強く絡んでくるし、婚姻によって領土を拡大したり、死亡すると領土が分割されたりと、特に日本人には敷居が高いものとなっている。
このシリーズで中心となるのは「人間関係」であり、プレイヤーがプレイするのは「国」ではなく「領土を持っている個人」である。婚姻を通じた外交政策、優れた子どもの育成、臣下の反乱、宗教指導者との関係、様々な策謀が張り巡らされた宮廷、病気による大量死・・・などなど、非常に個人にフォーカスを当てたゲーム性となっている。
それがゆえにロールプレイが一番楽しめるシリーズとなっており、「自分のキャラクターはこういう特性があるから、特性に沿ったプレイングをしよう」というのが、システム的にもしやすい。カール大帝のような名君からジョン欠地王のような暗君まで、様々に楽しめる。
また、他と違ってこのシリーズのみ全世界が舞台となっていない。西はヨーロッパから東はインドまで、北はノルウェーから南はソマリアまで、と言った感じになっている。日本人として日本で遊べないのは残念な感じではあるが、どのシリーズでも日本は割と玄人向けなので、素直にヨーロッパの大国でプレイしよう。
CK3について
さて、シリーズ最新作「CK3」は、パラドゲーの中で比較的新しいゲームとなっている。そのため、UIは洗練されており、チュートリアルもそれなりにわかりやすい。重要な事項やヒントもかなり親切な方で、なんとなくプレイするだけでもそれなりに生き残りやすくなっている。
中世ヨーロッパの封建制のシステムさえわかれば、おそらく一番とっつきやすいゲームとなっている。
初心者おすすめ国家:アイルランド諸侯(1066年スタート)
Europa Universalis(EU)
- 年代:1444年~1821年
- 出来事:百年戦争終結・ルネサンス~大航海時代~三十年戦争~大北方戦争・大トルコ戦争~アメリカ独立~ナポレオン戦争
- 中心となる要素:外交
EUシリーズについて
Europa Universalis(以下、EU)は、主権国家体制が出来上がり、銃火器の発展により戦争が大規模なものとなっていき、航海技術の発展によって新大陸への植民競争が始まるという、様々な変化が起きた時期をテーマにしたシリーズである。
特に、オスマン帝国・神聖ローマ帝国・スペイン帝国・イギリス帝国・ロシア帝国・フランス王国・カルマル同盟・ポーランド王国およびリトアニア大公国など、ヨーロッパでは大国が多数ひしめき合い、高度な外交戦略が重要となる時代である。
当然ながらこのシリーズにおいては「外交」が中心であり、外交次第ではどんなに強大な国家でも滅亡する可能性がある。それだけに外交関連でできることが非常に多く、常に目を見張っておく必要がある。
また、上述したCK並みの年代の広さも特徴で、CKとは異なりこちらはイベントなどが充実しているため、通しでプレイする分にはあちらよりも楽しめる。もちろん短い期間でも楽しめるように、ミッションツリーや技術なども分かりやすくなっており、そういった意味では一番ゲームらしいシリーズとも言える。
特殊なシステムも非常に多くあり、間違いなくとっつきにくい部類ではあるものの、他シリーズに比べて奥深さは非常に高く、少しでも興味がわいたのなら100時間程度プレイしてみよう。
EU4について
シリーズ最新作「EU4」は、そのDLCの多さで有名である。全部のDLCが必須というわけではないが、相当数のDLCを購入しないと、最大限の面白さがまったくと言っていいほど発揮されない。おすすめDLCは他サイト様で紹介されているので、セール時などを狙って購入するのをお勧めする。
また、月額520円のサブスクリプションもあり、こちらに登録することで全DLCを利用することが可能となり、普通に買えば総額3万円を超えるDLCを手軽に楽しめる。セール時でさえも総額1万円を超える(一時期、Humble Bundleで本体+全DLCが2,000円程度で販売されていたが、あれは例外)ので、新規に始めるならサブスクがおすすめ。
それだけのDLCがある分、非常に多くの国家に独自の要素が搭載されている。パッと思いつく大国はもちろん独自要素があるし、それどころか原住民族も場所に応じて独自要素が搭載されている。日本も例外ではなく、日本は幕府のシステムがあって、他国とはまた一線を画すものとなっている。
また、EU4は全パラドゲー最新作の中で最も古い。そのため、若干UIに不便な点があり、またチュートリアルがほとんど意味を成さず、間違いなく一番難しいゲームとなっている。ただ、それだけに奥深さという意味では間違いなく一番である。
そして、日本があるからと言って日本でプレイするのはそこまでお勧めできない。上述した特殊システムのためである。また、現在の中国にあたる明も、超大国ではあるもののこれまた特殊システムがありお勧めできない。逆に、ヨーロッパの大国は大半が分かりやすい(神聖ローマ帝国除く)ので、基礎の基礎を学んだあとにプレイできる国家が幅広く、それだけに長く楽しめる。
初心者おすすめ国家:オスマン帝国(Ottoman)
Victoria(Vic)
- 年代:1836年~1936年
- 出来事:テキサス独立戦争~アヘン戦争~米墨戦争~クリミア戦争~イタリア統一運動~南北戦争~普仏戦争~露土戦争~日清戦争~日露戦争~第一次世界大戦~第二次世界大戦前
- 中心となる要素:内政
Vicシリーズについて
Victoria(以下、Vic)は、ヨーロッパでは神聖ローマ帝国の崩壊やウィーン体制の形成などがされ、アメリカでは南北戦争などを経てアメリカ合衆国が強大な国となっていき、世界的にはヨーロッパ各国による旧大陸への植民がなされて行き、そして最終的に第一次世界大戦が起きるという、緊張感の高まった時代をテーマにしたシリーズである。
このシリーズは、「内政」が中心となっており、Tropicoなどの街発展系シミュレーションをプレイした人なら聞き覚えのあるであろう「POP」、すなわち国民が非常に重要になる。
当然、POPの要素は多岐にわたって影響するが、そういった影響を考えつつ、工業化の推進、経済の安定化、他国への影響や戦争への介入などなど、様々なバランスをとる必要があるが、これが非常に難しい。
パラドゲーの中では間違いなく一番難しいシリーズであるが、街発展系シミュレーションゲームが好きな人なら楽しめるかもしれない。
Vic3について
シリーズ最新作「Vic3」は、パラドゲーの中で最新作であり、UIが非常にわかりやすいものとなっている。また、前作では外交と戦争も重要な要素となっていたが、今作では内政以外シンプルな感じとなっており、内政だけを楽しみたい人でもとっつきやすいものとなった。おまけで、公式で日本語があるため、システムなどは比較的理解しやすくなったかもしれない。また、目標に沿ってプレイするモードもあるため、「何をすればよいか」が比較的わかりやすいものとなっているかもしれない。
過去作はパラドゲーの中でも随一の難しさだったが、本作は実際のところそこまで難しくないと言える。特に「何が経済を良くして/悪くしているのか」「なぜ不満が発生しているのか」などがすぐにわかるため、よほどの小国でプレイしない限り安定したプレイができるが、逆に言えば今の時点では「国家ごとの独自性が低い」ため、奥深さは低めである。
なお、当然日本は存在するのだが、初心者に日本はあまりお勧めできない。何せ、ゲーム開始時点で日本はまだ江戸時代で、工業化などとは無縁の状態でのスタートであるため追いつくのがかなり大変だからだ。
初心者おすすめ国家:ベルギー、チリ
Hearts of Iron(HoI)
- 年代:1936年~1948年
- 出来事:第二次エチオピア戦争~アンシュルス~チェコスロバキア解体~第二次世界大戦
- 中心となる要素:戦争
HoIシリーズについて
Hearts of Iron(以下、HoI)は、誰でもなじみ深い第二次世界大戦(以下、WWII)をテーマにしたシリーズである。WWIIをテーマにしたシミュレーションゲームは数あれど、このシリーズは完成度が高い。
当然ながらこのシリーズは「戦争」が中心となる。戦争においては当然ながら陸海空を組み合わせた戦略が必須となるし、それ以外にも様々な要素が作りこまれている。
戦争以外でも、イデオロギーによる対立、新兵器の開発、工場を増やしての国力の増強など、戦争の準備も非常に重要である。
WWIIという、日本人でも割と身近な要素を扱っており、その分日本でも人気が高いシリーズで、動画も非常に多く投稿されている。時代背景の理解という意味ではお勧めしやすいシリーズ。
また、他のパラドゲーに比べるとプレイする年数がそこまで長くなく、プレイ時間が短めというのもおすすめ。初心者でも簡単に最後までプレイが楽しめるだろう。
HoI4について
シリーズ最新作「HoI4」は、比較的新しいゲームだけあって、かなりユーザーフレンドリーなものとなっている。また、国家方針ツリーシステムによって、史実をなぞることもできるし、IFの歴史のプレイもしやすいという、どちらのパターンも好きな人にとってはたまらないものとなっている。
特筆すべきはユニットのマネジメントで、大規模な戦争でも比較的プレイヤーの負担は少なくなるようにできている。
とはいえ、実は他のパラドゲーから見るとHoI4はかなり異色のシステムとなっている。CK3・EU4・Vic3は似通った部分がある分どれか1つでもプレイすれば他もそれなりに遊べるのに対し、HoI4は他のパラドゲーでの知識を非常に活かしづらいし、HoI4が楽しめても他のパラドゲーを楽しめないということにもなりうる。この点にはちょっと注意が必要。
なお、当然日本は大日本帝国として存在するのだが、相変わらず初心者にはあまりお勧めできない。序盤から中国方面への戦争、終盤はアメリカとの戦争があり、陸海空すべてのシステムを把握しないと難しいからだ。
初心者おすすめ国家:イタリア(Italy)
番外編
Stellaris
- 年代:2200年~
Stellarisについて
番外編として、Stellarisの紹介。Stellarisは、上述した四作品と異なり、2200年以降、つまり未来を舞台としたものになっている。
他のパラドゲーとの最大の違いは、宇宙を舞台にした4Xゲームであるということ。4Xとは「eXplore(探検)」「eXpand(拡張)」「eXploit(開発)」「eXterminate(殲滅)」の4つの要素を兼ね備えたゲームのことであり、代表的なものとして「Civilization」などが挙げられる。
他のパラドゲーと比べてかなり異色だが、それでもパラドゲーらしい部分はあり、「Civilization」に比べるとかなり複雑なものとなっている。
Imperator: Rome(I:R)
- 年代:紀元前304年~紀元前27年
- 出来事:ポエニ戦争~マケドニア戦争~内乱の一世紀~ローマの帝政移行
I:Rについて
こちらも番外編として、Imperator: Rome(以下、I:R)の紹介。紀元前304年~紀元前27年という、共和制ローマが大拡張した時期をテーマにした、パラドゲーとしては最古の時代を扱っている。
なぜ番外としたかというと、本作の評判が乏しく、またParadox Interactiveの経営の関係で、2021年のアップデートを以って開発が終了となったからである。
タイトル通り、主役はローマで、他の国家でももちろんプレイができるのだが、ローマ以外は正直そこまで推奨できないのが難点。
なお、このゲームはCK3同様全世界が舞台となっていない。西はヨーロッパから東はインドまで、北はデンマークから南はイエメンまで、と言った感じになっている。
ゲーム性的には、CK2のような人間関係の管理・EU4のような外交・Vic2のような内政・HoI4のようなミッションツリー・Stellarisのような土地管理という、よく言えばいいとこどり、悪く言えば中途半端なものとなっている。
今後アプデされないので、物好きな人はプレイしてみても良いかもしれない。
初心者おすすめ国家:ローマ(Rome)
あとがき
以上、パラドゲーの中から六作品を紹介した。実は他にも「Sengoku」や「March of the Eagles」というゲームもあるのだが、未プレイであるため紹介しなかった。どちらも古いゲームであり、またシリーズとして続いていないので、よほど気になったのならプレイしてみるのも良いかもしれない。(ただし、日本語化はないので注意)
管理人は、それぞれ少なくとも100時間以上はプレイした。その中でも最もプレイしたのはEU4なのだが、根底にあるシステムは同じでも全く異なるゲーム性のため、プレイするたびに新しさを感じる。決してプレイしやすいゲームとは言えないものの、システムの理解が進めば進むほど面白さが増していくので、少しでも気になったゲームがあれば買ってみても良いかもしれない。