小粒ゲーム紹介111:Scanner Sombre

イギリスのゲーム開発スタジオ、Introversion Softwareによるゲーム「Scanner Sombre」の紹介。

一言で:Scanner Sombrevとは
地形をスキャンしながら真っ暗闇を進む一人称視点ホラーウォーキングシミュレーター


概要

  • ジャンル:一人称視点ホラーウォーキングシミュレーター(VR対応)
  • 開発者:Introversion Software
  • リリース日:2017年4月26日
  • 価格:通常時620円、セール時93円
  • プラットフォーム:Steam
  • 日本語:有
  • マルチプレイヤー:無
  • コントローラー:使用可
  • プレイ時間:1~2時間
物語性 ★★★★☆
ゲーム性 ★★★☆☆
難易度 ★☆☆☆☆
コスパ ★★☆☆☆
怖さ ★★☆☆☆

 

こんな人にお勧め

  • ちょっと変わり種のウォーキングシミュレーターを遊びたい人

 

ネタバレなし解説

※以下、VR版準拠の解説になるので、非VRでのゲームプレイと異なる部分があるかもしれません

ゲームについて、以下ストアページより引用。

Scanner Sombreは、『Gone Home』と『Dear Esther』にインスピレーションを受けた洞窟探検の体験です。素晴らしいビジュアルと恐ろしいテーマで、ミリオンセラーとなったBAFTA受賞作『Prison Architect』をはじめ、『Uplink』、『Darwinia』、『DEFCON』、『Multiwinia』を制作したIntroversion Softwareがリリースした6番目のメジャービデオゲームです。

このゲームは、一人称視点ウォーキングシミュレーターに、少しばかりホラー要素を足したゲームになっている。説明文にもあるように、ウォーキングシミュレーターとして人気を博した「Gone Home」などと似たような感じになっており、アクション性やパズル性は極力抑えられ、雰囲気やストーリーテリングを意識したものとなっている。

なお、VRに対応しているが、VRがなくてもプレイが可能となっている。どちらでも、(おそらくは)そこまで大きな違いはないので、好きな方で遊ぼう。

ストーリーについて、ストアページ説明文より引用。

君は湿気の臭いで意識を取り戻す。目を開けると、部屋の石壁が火に照らされてちらちらと光っている。つまずいて、床の上のヘルメットを蹴飛ばし、ガタガタと音が鳴る。しだいに頭痛がおさまり、通路の入口があることに気付く。何歩か進むと暗闇にすっかり包まれる。安全な火の元に戻ると、床にLIDARスキャナーがある- トリガーを押すと、ヘルメットの内側からかすかな光。君はヘルメットを着け、ビーム幅を調節し、奈落の底に進んでいく…

sombre_intro
独特なグラフィックで、視覚的に(そして聴覚的にも)雰囲気が楽しめる。

操作について。移動とジャンプという基本操作に加え、スキャンがある。具体的には後述する。なおVR版では、移動はテレポート方式となっており、ジャンプもテレポートで行うものとなっている。

ゲーム性について。まず、このゲームは本当に真っ暗闇(というより、真っ黒)である。スタート地点のみ明るいものの、それ以外は視界が0である。そこで活躍するのがスキャナーである。
スキャナーは、物体の表面にスプレーを吹きかけるような感じになっている。スキャンした場所は永遠に記録され、遠いところまで行っても、振り返りさえすればスタート地点付近が見えるなど、いろいろな楽しみ方ができる。
このゲームはウォーキングシミュレーターであるため、敵が襲い掛かってくることはないものの、落下死する可能性は大いにある。ただ、落下したとしても、割とすぐ手前からリスタートできるため、その点でのストレスは少ない。

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底の見えない穴にかかる橋。所々穴が空いており、注意しないと落下する。

また、当然ながら雰囲気づくりはしっかりされている。真っ暗だからこそ、環境音などにはこだわりが感じられるし、スキャンで断片的に明かされる情報から洞窟の雰囲気を想像する楽しさがある。ただし、日本語訳は微妙な部分があり、「これがしっかりした日本語訳なら完璧なのに」とは思った。
なお、ホラー要素については、全体的に雰囲気ホラーといったところで、そこまで怖くはない。ただし、ごくわずかながらドッキリ演出があるので注意。その部分を除けば、まさに洞窟探検のような、ひんやりとした空気感を楽しめる。正直、このドッキリ部分は不要な感じもあり、掲示板などでも「これさえなければ」という声も多いので、どこで遭遇するかを知りたい人は次のセクションに場所を記すので、参考にしてほしい。(特にVR版では、とある部分で極端に音量が大きくなるので、事前に知っておくことを推奨しておく)

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人工物がある場所があるなど、洞窟は様々な姿を見せる。

ただ、少しばかり残念な点もある。特にVRでプレイしていて思ったのが、指が痛くなるので、休憩を挟まないときつい点。基本的にスキャンをしっぱなしのゲーム性であるがため、ずっとトリガーを握っている必要が出てくる。もちろん、VRでなくとも、ずっと左クリックしっぱなしになるので、「オートスキャン」みたいな機能があっても良かったのだが。
それと、こちらはVR版ならではの問題なのだが、穴を飛び越えるのが難しい。割と足場のギリギリに立たないといけない部分がそれなりにあるのだが、VRである程度自由に動ける都合上、自分がどこに立っているのかが微妙にわかりづらいし、距離感もつかみづらい。
なお、管理人はHTC Viveでプレイしたのだが、テレポート操作がよくある「ボタンを押している最中に狙いを定め、離して移動」ではなく、「トラックパッドに指をのせている間に狙いを定め、押して移動」である。加えて、ゲーム中に説明がないため、最初は混乱したし、なかなか慣れなかった。もし同じ環境でプレイする人がいれば注意してほしい。

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壁の向こうなども見えるので、ちょっと不思議な感じ。

総じて、雰囲気づくりなどは良く、スキャンのシステムもそれなりだが、フルプライスだと若干高いかなというゲーム。しかし、セール時には100円を切るので、セールの際に遊ぶのも良いだろう。(余談だが、リリース時の値段は1,180円で、一時期値段が2,050円になっていた。それに比べれば現状でもかなり安いとは思う。)


ドッキリ部分(ネタバレあり、ただしプレイ前に知っておくこと推奨)

  • 橋が複数かかっている場所(ストアページ3枚目のスクリーンショット)。最後に橋に空いた穴から下の橋に降りる部分。降りた直後に爆音+上の橋に人影が現れる。橋を渡りきると静かになって人影も消える。襲ってこないし追ってこないので、途中橋に空いた穴に落ちないよう、ゆっくり進もう。
  • 水全般。水に入るだけで演出がある。そのまま一定時間が経つと襲われて死亡する。できるだけ水は回避しよう。

ネタバレあり感想

※ここから先ネタバレあり、それでもいい方はスクロール

それではネタバレありで感想を書きます。
とにかく、「ドッキリ演出だけ不要」これに尽きる。途中、「見えないものが見える(≒幽霊)」演出はありはするものの、雰囲気を壊さない程度だし、むしろ世界観を深めるのに一役買っている。
特に、上述したもののうち、1つ目の方は操作に慣れて雰囲気を楽しみ始めたころに遭遇するので、「雰囲気を楽しむ」から一変、「どこで襲われるかわからない恐怖」になってしまう。しかも、このイベントは特に重要ではないし以降にも関係ない、いわゆる「単発イベント」であるのも質が悪い。

ストーリーについて。明言されないため不明な部分もあるが、「主人公は実はスタート時点で死んでいた。主人公は、置いてきた家族の様子を気にし、通ってきた道を、思い出を振り返るかたちで地表へと向かう。しかし、家族の様子を確認した主人公は、直後に再びスタート地点へと戻されてしまい、再び家族の元を目指すのだった」といったあたり。
ちなみに、スタート地点をスキャンすると、主人公の死体と思わしきものを見つけられる。

操作については上述した通り。ゲーム性について。
ゲームを進めると、スキャナーのアップグレードが解除されていく。バーストスキャンは強力で、多少スキャンの手間を省けるものの、リチャージが必要だし、結局指が疲れることには変わりがない。マップ機能は早い段階でアンロックされるのだが、ほぼ一本道である以上そこまで迷わないし、探索要素もないし、存在意義があまり感じられない。一応、「こんなに進んできたんだ」という、そういうのを楽しめはするが。

総じて、不満点さえなければかなり良かったであろう作品。特に、ボートに乗っているときの雰囲気は最高だったので、惜しい。