小粒ゲーム紹介11:thomas was alone

イギリスのゲーム開発者Mike Bithell氏によるゲーム「thomas was alone」の紹介。

一言で:thomas was aloneとは
長方形たちによる2Dパズルプラットフォーマー


概要

  • ジャンル:2Dパズルプラットフォーマー
  • 開発者:Mike Bithell
  • リリース日:2012年11月13日
  • 価格:通常時980、セール時490円、App Store版250円
  • プラットフォーム:SteamApp Store
  • 日本語:無
  • マルチプレイヤー:無
  • コントローラー:使用可
  • プレイ時間:2~3時間
物語性 ★★★★★
ゲーム性 ★★★★☆
難易度 ★★★★☆
コスパ ★★★☆☆
芸術性 ★★★★☆

 

こんな人にお勧め

  • 英語の文章読解に自信がある人
  • 考察が得意な人
  • 「thomas was alone」の意味を知りたくなった人

ネタバレなし解説

ゲームについて、以下ストアページより翻訳。

長方形たちを導いて障害物を乗り越えろ。長方形たちのそれぞれ異なるスキルを使って、各場所の終わりを目指せ。

thomas was aloneは説明文通り、「長方形」が主人公。しかしそれは決して手抜きやネタではない。このゲームは、こうすることでパズル性や物語性を演出しているゲームだ。
また、お勧めの人のところに書いたが、このゲームは日本語に対応しておらず、物語性に重きを置いているため、英語読解能力がかなりいる。ただ単にパズルゲームをプレイしたいのなら、あまりこのゲームはおすすめできない。要注意。

それではゲームについて。ストーリーはまさに「トーマスは1人だった」ところから始まる。
基本的にはただの2Dパズルプラットフォーマーだが、先へ進むと話は変わってくる。トーマスの他に長方形が現れ、それも操作していくことになる。

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オレンジの長方形(正方形)、赤の長方形…他にも色々ある。

操作は、移動、ジャンプ、他の長方形に切り替え。ただそれだけである。しかし、長方形たちにはそれぞれ特徴がある
狭い通路を通れるがジャンプが低い、ジャンプ力が高いが背が高い、でかくてジャンプ力も低いが水に浮ける、等々。それらを操作してゴールのポータルを目指す→次のステージへというのが基本の流れである。

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水に浮ける能力。他の長方形は水に落ちたらアウト。

ネタバレになるのであまり詳しくは言えないが、プレイしていくと、自然とストーリーや開発者の伝えたいことが明確になっていく。
また、すべては具体的に語れないが、考察の余地はかなりある。考察が好きな人は考えながらプレイするのも楽しいだろう

一応、ストーリーの解説や考察をしているサイト等もあるので、ストーリーが理解できなかったら、検索するのもいいだろう。
このサイトでも、ネタバレあり感想に多少はストーリーについて触れるが、あまり具体的には言及できない。なぜなら少し自信がないからだ。


ネタバレあり感想

※ここから先ネタバレあり、それでもいい方はスクロール

それではネタバレありで感想を書きます。
まずストーリーは、簡潔に、「プログラム達がパソコンを脱出しようとする」といったところだろう。
しかし序盤はそんなことは一切言及されない。序盤は、より「人間は必ず何かの長所・短所がある」というところがメインだろう。
完ぺきな人間は存在せず、助け合いが必要である。そんなところか。こう書くと、凡百のゲームみたいだが、それを人間ではなく、長方形で示しているところがこのゲームの面白い点である。

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「人の長所」、「助け合い」。それが序盤のテーマ。

それについて議論をしだすと記事が長くなりすぎるため、割愛する。次はゲーム性についての話に移る。
ゲーム性は、操作キャラが長方形であることを除けば、いくらかありそうなゲームである。今や能力の異なるキャラクターを使い分けて先に進む、2Dパズルプラットフォーマーは結構ある。しかし、物語終盤、灰色の長方形たちが出たところから一変する。
灰色の長方形に色を付けると、その色に対応した能力を付与できる。そしてその色は、直前まで操作していた、最初から色がついている長方形たちの色である。これは、長方形だからこそできることであり、なるほどな、と少し感銘を受けた点でもある。

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1人で落ちていく。そこにも意味がある。

また、主人公たちが長方形であるがゆえに、ナレーションの話が入ってきやすい。よく、そういったナレーションを主体としたゲームでは、なぜ主人公が喋れないのか、そこを考えなければならなくなる。主人公が喋らない理由としてよく用いられるのは、①プレイヤー自身が主人公である。②ゲーム内では主人公が喋っているという設定にする。③無口なキャラである。といったようなことが挙げられる。そこで、このゲームでは、過去になかなか例を見ない、喋らなくても成立する世界観の構築に成功している。
ナレーションの話が入ってきやすい、ということは開発者が伝えたいことを伝えられるようなものである。その点で、本当にこのゲームは考察のし甲斐があるゲームだと思う。

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謎の黒い影。最後まで正体について明言はされない。

少し残念な点は、やはり英語の難しさと、ストアページを見ただけで買おうという気になかなかなれない点だろう。しかし、そこにあるゲーム体験は、新しくも懐かしい、不思議な体験である。
なお、収集要素は、見逃さなければ割と簡単に集められる。気が付いたら拾ってみる、という感じでいいだろう。