
イギリスのゲーム開発スタジオMujo Gamesによるゲーム「Ord.」の紹介。
一言で:Ord.とは
単語
選択
物語
概要
- ジャンル:テキストアドベンチャーゲーム
- 開発者:Mujo Games、Stuffed Wombat
- リリース日:2019年6月5日
- 価格:通常時205円、セール時102円、Switch版500円、App Store版250円、Google Play版210円
- プラットフォーム:Steam、Switch、App Store、Google Play
- 日本語:有
- マルチプレイヤー:無
- コントローラー:使用不可
- プレイ時間:3~4時間
物語性 | ★★★★★ |
ゲーム性 | ★☆☆☆☆ |
難易度 | ★~★★★★★★ |
コスパ | ★★★★★ |
アイデア | ★★★★☆ |
こんな人にお勧め
- テキストアドベンチャーゲームが好きな人
- コンセプトが気になった人
ネタバレなし解説
ゲームについて、以下ストアページより引用。
Ordはユニークな物語アドベンチャー・ゲームで、言葉、グラフィックと音楽を最小限に抑えて使用しています。
このゲームは、ゲーム名こそ「Ord.」だが、実際はゲームのアイコンと合わせることで「WOrd.」、つまり「単語」となる。その名の通り、一語や二語程度で構成されるテキストアドベンチャーとなっている。
上記説明文にもあるように、すべての要素が最小限と言ってもよい。そうした中で、プレイヤーは想像力を働かせ、選択をしていくことで、クリアを目指すものとなっている。

ストーリーについては5つ用意されており、それぞれ
- マイクエスト:冒険に旅立ち、悪の魔術師を倒そう。
- ダイメンション:次元の中で常軌を逸した行動に備えよう!
- 世界創造:神となり世界を作り上げよう。発展と衰退、待つのはどっち?
- ファウルシングス:出くわす子供たちの無力。不快な事実「ファウルシングス」を振り払おう。
- ハイスト:物事が計画通りに行くとは限らない。
となっており、それぞれ全くと言っていいほど異なる展開をするようになっている。

操作については、選択肢をクリックするだけ。
ゲーム性について。基本的に、まずは状況等が表示され、それに対してどうするかを選択し、結果が表示されるものとなっている。これらはすべて一語二語程度で表現されるため、ぱっと見で意味が分かるものや、選択を選んでから初めて意味の分かるようなものまである。そのため、基本的に初見の選択肢については、何が起こるかわからないものが多くなっている。そのうえ、選択肢によっては即死したりもする。
また、選択肢についても、毎回同じものが表示されるとは限らないため、そのあたりはローグライク風となっている。

なお、死ぬことが割と多いのだが、リプレイ自体は手早くできるし、死亡前の時点までも割とすぐに戻れるようになっている。
また、基本的に選択肢はその場限りのものが多いが、一部は後々の選択に影響を与えるものもあるため、多少はゲーム性がある。
全体的に意欲が感じられ、特に最初の物語である「マイクエスト」は非常に高いクオリティとなっている。反面、他の物語は粗削りな部分が多く、特に「ファウルシングス」はクリアするのに忍耐がかなり必要なほど長い&死にやすく、若干評価が下がる。
他、日本語訳が微妙に違っている部分があり、そのせいで選択がわかりづらくなっている部分があるのも残念。
総じて、インディーズならではの意欲作。テキストアドベンチャーとしては、本格的なものに比べると劣りはするが、まさにこの値段だからこそできる芸当。残念な点もあるにはあるが、おおむね楽しめる。
なお、Steamワークショップに対応しており、オリジナルのストーリーを作れるようになってはいるものの、そこまで盛り上がっていない。もし意欲のある人がいたら、ストーリー作成に挑戦してみるのもいいかもしれない。
ネタバレあり感想
※ここから先ネタバレあり、それでもいい方はスクロール
それではネタバレありで感想を書きます。
コンセプトの良さに加え、物語ごとに微妙にコンセプトが変わっているのが面白い。それぞれの物語について簡潔に感想を述べる。
「マイクエスト」は割と王道な冒険譚で、あらゆる選択によって即死するし、実績もかなりの数があって、あえて悪い選択を選ぶことまで楽しめる。ありきたりと言えばありきたりなものではあるが、最小限の文言で笑わせてくるような結果になるのが楽しい。
もちろん本筋も面白く、特に塔にたどり着いてからの展開は(どの展開でも)面白い。
「ダイメンション」は序盤で分岐する2つの物語を内包したSFで、特に恐竜を狩りに行く方の物語が面白い。また、第三の物語にあたるであろう現実世界は、いかにも現実世界的な展開を見せ、現代社会への皮肉にも取れる。
「世界創造」は人類が生まれる前が肝心の神様モノで、地球をどのようにするかで展開が様々になる。もちろん人類が生まれた後も、医療や兵器、自然災害などの選択で展開が変わってくる。なお、どうあがいても人類は衰退していく運命を変えられないというのは、これもまた皮肉っぽい。

「ファウルシングス」はほぼ一本道のホラーで、正直このゲームとかみ合っていない感が強い。クリアまで非常に長いうえ、チェックポイント等は一切ないため、死亡するたびやる気がそがれる。肝心のストーリーも、単語だけで表現されるため、全然怖くないし、のめりこめない。いわゆるトゥルーエンド的なものも、複数の伏線を回収しなければならず、非常に気づきづらい。加えて、実績数がたったの4しかなく、あえて死ぬ選択をする必要がなくなり、全部の選択肢を試す気はなくなってしまう。
「ハイスト」は時間軸を活用した強盗の物語で、実質一本道で短いストーリーではあるものの、うまくまとまっている。情景描写は一番良く、光景が目に浮かぶ。
総じて、この値段の中ではかなり楽しめた本作。なお、最初の3つの物語は、このゲームの開発者でもあるMujo Gamesの名前でクレジットされているが、他の2つは別の名前でクレジットされているため、他に比べると若干微妙なのはそのためかもしれない。